この記事で伝えたいこと
- 応募が来ないときは、求人票を直す前に「どこで止まっているか」を見る
- 数字だけでなく、採用背景・ペルソナ・競合条件も合わせて確認する
- 改善しないときは、求人表現ではなく採用条件まで戻る
求人を出しても応募が来ない中小企業向けに、クリック率・応募開始率・応募率から原因を切り分け、タイトル・仕事内容・応募導線・採用条件を見直す順番を実例付きで解説します。
求人を出しているのに、応募が来ない。そんな相談を受けたとき、私は最初に求人票を書き直すことはしません。
タイトルを変える。仕事内容を書き足す。給与を目立たせる。媒体を変える。どれも必要になることはありますが、原因が分からないまま手を入れると、何が悪くて、何を直した結果が良かったのか分からなくなります。
まず確認するのは、クリック率、応募開始率、応募率などの数字です。あわせて、なぜこの職種を採用するのか、どんな人を採りたいのか、実際に任せる仕事は何か、競合では同じような人をどんな条件で募集しているのかも確認します。
応募が来ないときに重要なのは、「求人票のどこを直すか」より先に、「候補者がどこで止まっているか」を見つけることだと考えています。この記事では、EnterLinkで実際にどのような順番で原因を整理しているのかを解説します。
「応募が来ないので、求人原稿を改善したい」という相談はよくあります。もちろん、結果的に求人票を直すことはありますが、その前に募集そのものの前提を確認します。
なぜ採用するのか。入社した人に何を任せるのか。どんな人を採りたいのか。どこまで給与を出せるのか。さらに、競合求人やターゲットとなる人の給与相場も見ます。
狙っている人の給与相場や転職条件と自社の募集条件が大きくずれているのであれば、文章だけを変えても応募は増えにくいからです。
私は求人を見るとき、「この文章は良いか」ではなく、「この条件とターゲットで採用できる設計になっているか」から確認するようにしています。
同じ応募0件でも、原因は会社によって違います。求人自体があまり表示されていない場合もあれば、表示はされているのにクリックされていない場合もあります。クリック後に応募を始めてもらえていない、あるいは応募開始後に離脱していることもあります。
Indeedアナリティクスでは、表示回数・クリック数・応募開始数など求人パフォーマンスの指標を確認できます。媒体によって取得できる指標や名称は異なりますが、応募数だけではなく、その手前の数字を見ることで原因を切り分けやすくなります。
参考:Indeed「Indeed アナリティクスによる求人パフォーマンスの評価と分析」
Indeedに掲載中の求人について、表示・クリック・応募開始・応募完了を工程別に確認したい場合は、Indeedに求人を掲載しても応募が来ない原因は?確認したい数字と改善方法で詳しく解説しています。
| 状態 | 見る数字 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 求人が十分に見られていない | 表示回数など | 職種・勤務地・露出 |
| 表示はあるがクリックされない | クリック率 | タイトル・一覧上の条件 |
| クリック後、応募開始されない | 応募開始率 | 仕事内容・給与・働き方 |
| 応募開始後に完了しない | 応募率・完了状況 | 入力項目・応募導線 |
求人の表示自体が少ない場合は、職種や勤務地、露出状況なども含めて確認します。表示が少ないという数字だけで、すぐに「タイトルが悪い」とは決めません。
表示回数はあるのにクリック率が低い場合、私がよく見るのが求人タイトルです。
企業側では分かりやすい職種名でも、求職者からすると「何をする仕事なのか分からない」「自分が対象なのか分からない」ことがあります。そのため、ターゲットが求人一覧を見た瞬間に、自分に関係がある求人だと判断できるかを確認します。
ただし、タイトルだけを見るわけではありません。給与や勤務地、働き方など一覧上で見える情報も含め、競合求人と並んだときにどう見えるかまで確認します。
クリックされているのに応募開始につながっていない場合は、求人詳細を見ます。ここで私が特によく確認するのが、仕事内容です。
採用する会社側はその仕事を知っているため、「DXサービスの法人営業を担当していただきます」と書けば伝わるように感じることがあります。でも、その会社も業界も知らない人には、何を売るのか、誰に売るのか、どうやって顧客と接点を持つのか、入社後は何から覚えるのかまでは分かりません。
特に未経験者や異業種からの転職者も採用したい場合は、「現場の人が読んで分かるか」ではなく、「この仕事を知らない人が読んでも分かるか」という視点で求人を見ます。
求人詳細を読んで応募を始めてもらえているのに、完了まで進んでいない場合は、求人票ではなく応募方法を確認します。
応募時に求めている情報が多すぎないか。この段階では必要のない項目まで入力させていないか。候補者の興味ではなく、応募するときの負担が原因になっていないかを見ます。
応募が少ないと、「もっと詳しく書きましょう」となりがちです。ただ、文字数を増やせば応募が増えるわけではありません。
仕事内容、給与、休日、働き方、評価、研修、キャリア。そのすべてを長く書くのではなく、今回採用したい人が転職先を選ぶために必要な情報があるかを考えます。
たとえば未経験者を採用する求人であれば、「研修制度あり」だけでなく、入社後にどんな順番で仕事を覚えていくのかが分かった方が、働くイメージを持ちやすくなります。
インセンティブも「あり」と書くだけではなく、仕組みや実際の支給例、年収例まで分かれば、転職先を比較する材料になります。
求人改善で意識しているのは、会社が伝えたい情報を書くのではなく、求職者が応募するか判断するための情報を書くことです。
タイトルを直した。仕事内容も具体的にした。条件の伝え方も見直した。それでも結果が変わらない場合は、さらに文章を書き直し続けるのではなく、一度求人票から離れます。
確認するのは、そもそも誰を採ろうとしているのか、その条件が本当に必要なのか、その人が市場にいるのか、その条件で転職する可能性があるのか、そしてその人にとって自社へ転職する理由があるのかです。
ここがずれていれば、求人文章だけを変え続けても限界があります。
採用する人物そのものを見直す場合は、中小企業の採用ペルソナ・採用ターゲットの決め方で、任せる仕事からMust条件を整理し、市場・給与・転職理由と照らす手順を解説しています。
仕事内容や応募条件を具体的な文章へ落とし込む際は、中小企業の求人票の書き方と3職種の改善例も参考にしてください。
実際に支援したDX営業職で、半年間採用できておらず、応募も月1件程度という求人がありました。
このときも、単純に求人原稿をきれいにすることからは始めていません。採用する人物や市場を確認したうえで、ターゲットが求人を見て、入社後の仕事を具体的に想像できるかという視点で見直しました。
タイトルでは、ターゲットが求人を探すときに気になるポイントが伝わるよう、一部を変更しました。
仕事内容は、営業経験者だけが理解できる書き方ではなく、営業未経験者や異業種の人が読んでも、誰に、何を、どのように提案する仕事なのかが分かるように具体化しました。
給与・インセンティブは、基本給与だけでなく、インセンティブの仕組みや実際の事例、年収例も記載しました。
入社後の研修も、「研修あり」で終わらせず、何か月目に何を学ぶのかがイメージできるようにしました。
もちろん、この結果を「求人票を変えたから6名採用できた」と断定することはできません。採用結果には、選考、候補者対応、時期、市場環境なども影響します。
この事例で言えるのは、ターゲットが知りたい情報を具体化した後、応募数・採用数ともに改善したということです。求人改善で重要なのは「魅力的な文章を書くこと」より、求職者が自分がその会社で働く姿を想像できるだけの情報があるかを見ることだと考えています。
「応募が来ない」と相談されたとき、私の場合は次の順番で確認します。
この順番で見ていくと、「応募が来ないから、とりあえず求人を書き直す」という改善から抜け出しやすくなります。
こうした整理や改善を自社だけで回すのが難しい場合は、RPO・採用支援で必要な部分だけ外部に任せる方法もあります。採用が安定して回っているのであれば、必ずしもRPOを使う必要はありません。
求人改善を自社で続けるか、実務まで外部へ任せるか迷う場合は、中小企業がRPO・採用代行を使うか判断する基準も参考になります。課題のある工程と、自社で解決できない理由を分けて確認します。
媒体や募集方法そのものを比較する必要がある場合は、中小企業の採用媒体の選び方で、求人広告・スカウト・人材紹介を費用や社内工数から選ぶ手順を整理しています。
求人を出しても応募が来ないと、媒体を増やす、タイトルを変える、文章を書き直すといった施策を試したくなります。
ただ、最初に確認したいのは、見られていないのか、クリックされていないのか、読まれても応募されていないのか、応募途中で離脱しているのかです。どこで止まっているかが分かれば、直す場所も見えてきます。
そして求人票を改善しても結果が変わらないのであれば、誰を採ろうとしているのか、条件自体が適切なのかまで戻る。
求人改善で重要なのは、たくさん直すことではなく、原因を見つけて必要なところだけ直すことだと考えています。
求人票を直すべきなのか、採用条件を見直すべきなのか、そもそも採用する人物から整理し直すべきなのか。判断が難しければ、まず現在の求人と採用状況を整理するところから始めてもよいと思います。
採用について、一度整理してみたい方へ
採用職種・優先順位・どこで止まっているかを確認し、自社で進める部分と外部を使う部分まで整理します。