中小企業の採用KPIは何を見ればいい?最初に見る数字と課題の見つけ方

中小企業の採用KPIは何を見ればよいか。表示・クリック・応募・面接・内定などの数字の見方、比較条件の揃え方、数字から問題工程を絞り、候補者単位の事実から原因を特定する方法を解説します。

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この記事で伝えたいこと

  • 採用KPIは「この数字が悪いからこれが原因」と断定するためではなく、どの工程を深掘りすべきか見つけるために使う
  • 応募数だけで判断せず、表示・クリック・応募・面接・内定などを工程ごとに分け、同じ定義・条件で確認する
  • 数字で問題箇所を絞った後、辞退理由・対応履歴・リードタイムなどの個別事実を確認し、改善できる上流課題から優先する
目次

「求人を出しているのに採用できない。どの数字を見ればいいですか」。採用の相談で、こう聞かれることがあります。

応募数、面接数、内定数を記録している会社は少なくありません。ただ、その数字だけを見ても、採用のどこに問題があるのかまでは分からないことがあります。応募5件という結果だけでは、求人が十分に表示されているのか、クリックされているのか、応募を始めてもらえているのか、その後の選考で止まっているのかを切り分けられないからです。

私が採用数字を見るときは、数字そのものを原因だとは考えません。まず数字から問題が起きていそうな工程を絞り、その工程で実際に何が起きているかを候補者単位の事実ややり取りから確認します。そこで初めて原因を特定します。

この記事では、中小企業が採用KPIを管理するときに、最初に何を見ればよいか、数字をどう揃えるか、そして数字から課題をどう見つけるかを整理します。

採用KPIとは?数字を追う前に知っておきたい役割

KPIとKGIの違い

採用では、最終的に達成したい結果と、その途中で確認する数字を分けて考えると整理しやすくなります。

たとえば「12月末までに営業職を3名採用する」が最終目標なら、その達成状況を途中で確認するために、応募数、面接設定数、内定数、承諾数などを見ます。

KGIを最終的な結果、KPIをその結果へ向かう途中で確認する重要指標として使う考え方です。ただし、中小企業の採用では、最初から多くのKPIを設定することが目的ではありません。

採用人数・優先順位・期限そのものが曖昧な場合は、先に中小企業の採用計画の立て方で、何人をいつまでに採るのかを整理してください。

採用KPIは「答え」ではなく、確認すべき場所を見つける数字

たとえば面接設定率が下がっていたとしても、その数字だけで原因は決まりません。

応募者への初回連絡が遅かったのか、候補者と連絡が取れなかったのか、応募条件と実際の経験が合っていなかったのか、面接候補日が先になりすぎたのか。中身を確認しなければ分かりません。

KPIは答えではなく、深掘りする場所を教える数字です。

すべての数字を重点KPIにする必要はない

採用全体を把握するためには、表示から入社まで一通り見る必要があります。一方で、すべての数字を毎週同じ重さで追う必要はありません。

まず全体を見て、今どこに問題がありそうかを確認する。そのうえで、現在改善する工程の数字を重点KPIとして追います。

採用KPIを見るときの基本的な流れ
  1. 採用数字を揃える

    表示から入社までを工程ごとに確認

  2. 問題がありそうな工程を絞る

    数字の変化・離脱箇所を見る

  3. 候補者単位の事実を確認する

    辞退理由・対応履歴・リードタイムなどを確認

  4. 原因を特定する

    数字だけで断定しない

  5. 改善するKPIを決める

    今改善する数字を重点的に追う

まず確認したいのは「その数字で判断できる状態か」

応募数だけでは原因を特定できない

企業から「応募が5件しか来ていません。何が悪いでしょうか」と相談されたとき、表示回数、クリック数、応募開始数などが確認できなければ、私はその時点で課題を特定しません。

求人内容を見て、仕事内容が抽象的ではないか、必須要件が厳しすぎないか、給与がターゲットと合っているかなどの仮説は立てられます。ただし、それはあくまで仮説です。

表示されていないのか、表示はされてもクリックされていないのか、求人詳細を読んだ後に応募へ進んでいないのか。数字がなければ、どこで止まっているかまでは判断できません。

「数字がある」と「数字で判断できる」は違う

採用管理表が存在していても、改善に使えるとは限りません。

私が見てきた中で、判断しづらい状態には次のようなものがあります。

  • 全職種の応募数を一つにまとめている
  • 応募数しか記録していない
  • 管理表が更新されていない
  • 「応募・面接・内定」だけで、途中工程が大まかすぎる
  • 辞退理由や対応履歴など、候補者ごとの情報が残っていない

たとえば応募20件、面接8件、内定2件という数字があっても、12人が面接へ進まなかった理由が分からなければ、次に何を変えるべきか判断しにくくなります。

中小企業が最初に見たい採用数字

採用数字は、大きく「求人が見られる」「応募する」「応募後の選考が進む」の3つに分けると整理しやすくなります。

求人が見られているか

まず求人が候補者へ届き、一覧画面などで興味を持ってもらえているかを見ます。

求人が見られているか確認する数字
指標基本的な見方
表示回数求人が表示された回数
クリック数求人詳細がクリックされた回数
CTR(クリック率)クリック数 ÷ 表示回数

CTRが低いからといって、すぐ「求人タイトルが原因」とは判断しません。職種名、勤務地、一覧上の条件、ターゲットとのズレ、露出状況など、複数の可能性を確認します。

求人を見た人が応募しようとしているか

求人詳細を開いた後は、応募を始めたか、最後まで完了したかを見ます。

クリック後から応募まで確認する数字
指標本記事での基本的な見方
応募開始数応募フォームなどの入力を開始した数
応募開始率応募開始数 ÷ クリック数
応募完了数応募を完了した数。媒体によっては「応募数」と表示
応募完了率応募完了数 ÷ 応募開始数
応募率応募完了数 ÷ クリック数

IndeedやAirワークなどでは、表示・クリック・応募開始・応募に関する指標を確認できます。ただし、媒体によって指標名や集計方法が異なる可能性があるため、実際に利用している管理画面の定義を確認してください。

参考:Indeed「Indeed アナリティクスによる求人パフォーマンスの評価と分析」

参考:Airワーク 採用管理「有料広告の効果の確認方法」

Indeedを利用している場合は、Indeedに求人を掲載しても応募が来ない原因は?確認したい数字と改善方法で、表示 → クリック → 応募開始 → 応募完了の順に具体的な確認方法を整理しています。Indeedに限らない応募不足は、求人を出しても応募が来ない原因と見直すポイントで解説しています。

応募後の選考が進んでいるか

応募が集まった後は、自社側の選考工程を確認します。

本記事では、分母を曖昧にしないため、以下の定義で扱います。これは業界全体で唯一の標準定義という意味ではありません。自社で別の定義を使っている場合は、社内で同じ定義を継続して使える状態にしてください。

本記事で扱う応募後の選考指標
指標本記事での定義
面接設定率面接設定数 ÷ 応募数
面接実施率面接実施数 ÷ 面接設定数
内定率内定数 ÷ 面接実施数
内定承諾率承諾数 ÷ 内定数
入社数実際に入社した人数

選考が一次面接、二次面接、最終面接に分かれる会社なら、自社のフローに合わせて工程を追加します。工程を増やすこと自体が目的ではなく、どこで候補者が進まなくなっているかを確認できる粒度にします。

採用数字は、職種・求人・媒体・期間を揃えて見る

全職種をまとめると原因が見えなくなる

営業職とエンジニア職、正社員とアルバイト、福岡と沖縄では、採用市場も条件も違います。それらをすべて合算して「応募率3%」と見ても、何を改善すべきか分かりません。

採用数字を見るときは、できるだけ、職種・求人・媒体・期間を揃えます。

たとえば営業職のIndeed求人を改善したのであれば、その求人の改善前後を同じ期間幅で比べる方が、会社全体の応募率と比較するより変化を判断しやすくなります。

採用ターゲットやMust条件そのものが曖昧な場合は、採用ペルソナ・採用ターゲットの決め方から整理してください。

どの画面・データを正本にするか決める

同じサービス内でも、画面によって数字の意味や集計条件が完全に同じとは限りません。

たとえばAirワーク 採用管理は、画面によって応募数の集計方法が異なる場合があることを案内しています。担当者ごとに別の画面を見て数値を転記すると、「先月と今月で数字の定義が違う」という状態が起こり得ます。

参考:Airワーク 採用管理「各画面で表示されている応募数について」

そのため、何を正本にするかを先に決めます。

  • どの媒体管理画面を見るのか
  • CSVを使うのか、管理画面の数字を使うのか
  • 応募後はどの採用管理表を正本にするのか
  • 誰が、いつ更新するのか

数字の正しさを毎回疑う状態では、改善の議論へ進めません。

外部平均より、まず同条件の自社データを見る

「CTRは何%なら良いですか」「応募率は何%あれば正常ですか」と聞かれることがありますが、私は一律の数字だけで良し悪しを判断しません。

職種、地域、雇用形態、給与、必須条件、媒体、広告の有無などで数字は変わります。

比較するときは、まず次の順番で見るのが実務的です。

  1. 同じ求人の過去データ
  2. 同職種・同エリア・同媒体の自社データ
  3. 条件が近い自社内の別求人
  4. 必要に応じて外部ベンチマーク

外部の平均値は参考にはなりますが、自社の数字を判断する唯一の基準にはしません。

数字だけで課題を決めない。問題箇所から中身を深掘りする

数字から問題がありそうな工程を絞る

仮に、ある期間の数字が次のようになっていたとします。

問題箇所を絞るための例
工程件数
応募10人
面接設定5人
面接実施4人

このとき、「面接設定率50%だから悪い」とは決めません。

数字から分かるのは、応募から面接設定までの工程を深掘りした方がよさそうだというところまでです。

候補者単位の事実を確認する

次に、面接設定に至らなかった5人について中身を確認します。

  • なぜ面接設定できなかったのか
  • 応募から最初の連絡まで何時間・何日かかったのか
  • 応募から面接実施まで何日かかったのか
  • 途中辞退した人は、なぜ辞退したのか
  • どのような連絡ややり取りがあったのか

ここで初めて、「連絡が遅れていた」「候補者と日程が合わなかった」「そもそも必須条件を満たしていなかった」などの事実が見えてきます。

つまり、数字で場所を絞り、個別の事実で原因を特定する。 これが採用KPIを見るときに重要だと考えています。

採用要件や募集には問題がなく、候補者への連絡や面接日程調整の工数だけが足りない場合は、面接日程調整だけを外注する方法も選択肢になります。

自社の数字を見ても「どの工程を深掘りすればいいか分からない」という場合は、採用状況について相談することもできます。KPIを増やすことからではなく、今どこを確認すべきかから整理します。

母数が少ないときは「率が良い・悪い」だけで判断しない

同じ50%でも母数によって見え方は変わる

中小企業の採用では、毎月何十件、何百件も応募が集まるとは限りません。

たとえば、応募2件から面接設定1件なら面接設定率は50%です。応募20件から10件でも50%です。同じ率ですが、前者は次の1件で数字が大きく変わります。

そのため、母数が小さいときに率だけを見て「良い」「悪い」と断定することはしません。

件数が少なくても、離脱理由は確認する

一方で、「2件しかないから何も分からない」として放置するわけでもありません。

以下は考え方を説明するための仮例です。実際の支援実績ではありません。

応募2件のうち1件が面接前に辞退した。確認すると、応募から面接設定日まで14日空いていた。

この場合、「面接設定率50%だから問題」と考えるのではありません。辞退した候補者の事実を確認した結果、面接までのリードタイムが長くなっており、今後も同じ運用を続ければ再発する可能性があるなら、改善対象として扱います。

重要なのは、母数だけではなく、起きた事象に今後も繰り返す可能性があるかを見ることです。

複数の問題があるとき、どこから改善するか

基本は採用ファネルの上流から見る

採用数字を見ると、複数の工程に問題がありそうなことがあります。

たとえば、CTRも低い、応募開始率も低い、応募後の面接設定率も低い。このとき、私は基本的にはファネルの上流から確認します。

上流で候補者が十分に進んでいなければ、その後の工程に届く人数も減るためです。

ただし、自社でコントロールできるかを確認する

ただし、上流に問題があるからといって、必ずそこだけを直し続けるわけではありません。

基本は上流から確認します。ただし、上流に問題があっても自社では変えられない場合は一度保留し、その先にある自社で改善できる問題を確認します。

たとえば短期的には変えられない条件が上流の制約になっている一方で、応募者への初回連絡が遅れているなら、後者は自社ですぐ改善できる可能性があります。

大切なのは、「一番数字が悪いところ」だけでなく、今の会社が実際に変えられる課題かまで見て優先順位を決めることです。

改善対象を重点KPIとして追う

採用全体の数字は継続して見ます。そのうえで、現在改善すると決めた工程の数字を重点KPIとして追います。

たとえば応募後対応に課題があると特定したなら、面接設定率だけではなく、初回連絡までの時間や、設定できなかった理由も一緒に確認します。

改善する工程が変われば、重点的に見る数字も変わります。KPIを固定的な一覧として持つのではなく、現在の課題に合わせて重点を変えるという考え方です。

自社だけで採用課題を整理・改善できるか、それとも一部を外部へ任せるべきか迷う場合は、中小企業がRPO・採用代行を使うかの判断基準も参考にしてください。

採用KPIを見るときに確認したい7項目

最後に、自社の採用数字が改善に使える状態になっているか確認します。

採用KPIを見る前の7項目
確認項目チェックすること
1. 求人前半の数字表示・クリック・応募開始まで確認できるか
2. 指標の定義分子・分母が決まっているか
3. 職種複数職種を一つの数字に混ぜていないか
4. 求人・媒体・期間比較条件を揃えているか
5. 応募後の工程面接設定・面接実施・内定・承諾まで記録しているか
6. 個別の事実辞退理由・対応履歴・リードタイムなどを確認できるか
7. 重点KPI今どの工程を改善するのか決まっているか

7項目のうち、そもそも取得できていない情報が多ければ、KPI目標を増やす前に計測方法を整えます。

一方で数字が揃っているなら、次に見るのは「どの数字が平均より低いか」だけではありません。どこで異変が起きていて、その工程で実際に何が起きたのかを確認します。

採用KPIは、それ自体が答えではありません。数字から確認すべき場所を見つけ、候補者単位の事実まで降りて原因を特定するために使います。

採用状況のご相談

採用のどこで止まっているか、一緒に整理します

「応募が少ないのか、面接につながっていないのか、内定後に辞退されているのか分からない」「数字は取っているけれど、何を見ればいいか判断できない」そんな場合は、現在の採用数字と選考状況を確認しながら、どの工程に問題がありそうか、さらに何を確認すれば原因を特定できるかを整理します。KPIを増やすことからではなく、今どこを見直すべきかから一緒に考えます。

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