スカウト媒体を契約したものの、候補者を探す時間がない。送信を外部へ依頼したいが、料金が月額数万円のプランから数十万円のプランまであり、何が違うのか分からない。採用専任のいない中小企業では、こうした状況が起こります。
スカウト代行の費用は、月額固定、通数課金、時間課金などの方式だけでなく、文面作成・送信準備・候補者への働きかけ・返信後の対応をどこまで含むかで変わります。媒体利用料が別途必要な場合もあります。さらに、外部会社が独自に候補者を探索・勧奨・あっせんする行為は、職業安定法上の確認が必要です。
本記事では2026年10月28日時点の公式公開料金を例に、見積書のチェック項目、送信後のKPI、自社運用と外部支援の判断基準を解説します。読者は自社のために採用活動を行う中小企業で、人材紹介会社が求職者集客のために行うスカウト外注とは区別します。事例の料金は同じ業務の市場平均ではなく、採用成果を保証するものでもありません。
結論|費用だけでなく「何を任せ、誰が判断するか」で選ぶ
月額料金が安くても、別途媒体費や初期設定費がかかったり、送信数や職種数が制限されたりすれば、実際の支払額は異なります。一方、月額が高くても採用要件の整理や振り返りまで含む場合は、必要な社内工数が変わります。
まず、採用人数・期限、ターゲットの条件、利用媒体、社内の担当時間を整理します。自社で送信・返信を続けられるなら、外部支援が必要ない場合もあります。外注する際は、担当者が「送信する作業」だけでなく、どの候補者に何を伝えるかを誰が判断するかも確認してください。
スカウト代行の料金体系|月額・送信枠・時間で比較
| 体系 | 金額を決める単位 | 向く可能性がある状況 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 月額固定型 | 月額・稼働枠・送信枠 | 毎月一定の採用活動がある | 月間送信上限と最低契約期間 |
| 送信数を基準にする型 | 月内の送信枠や追加件数 | 通数を決めて試したい | 送信枠を含む月額か、1通ごとの追加課金かを区別 |
| 時間課金型 | 担当者の作業時間 | 依頼作業量に変動がある | 1時間で処理できる件数は媒体や作業内容で異なる |
「2,000通を含む月額20万円」というプランは、1通ごとに100円を支払う従量契約とは異なります。20万円÷2,000通=100円は満額送信した場合の単純換算であり、1通100円で単発依頼できる意味ではありません。文面の作成や候補者の確認に必要な工数も異なるため、平均返信率を根拠なく設定して採用人数を予測することは避けます。
公式料金例を比較|月額2万9,800円〜から稼働時間型まで
| 提供会社・サービス | 公式公開料金 | 何が違うか |
|---|---|---|
| bサーチ「採善策」 | 大量配信型月29,800円〜(税別) | ピンポイント型月39,800円〜、個別カスタマイズ型月49,800円〜(税別)。媒体費は別。対象媒体・送信数・最低期間を確認 |
| リクルートメントパートナーズ | 手作業:1時間5,000円/マイナビ向けRPA:2,000通あたり月20万円 | 作業時間型と通数型で別の提供内容。税区分・最低期間は公式記載から未確認 |
| VOLLECT「PRO SCOUT」 | 80時間プラン月40万円〜/120時間プラン月70万円〜 | 文面・配信・分析等の幅広い支援。12か月契約割引の案内あり。税区分・最低期間は要見積 |
出典:bサーチ公式、リクルートメントパートナーズ公式、VOLLECT公式FAQ。
月額・時間・送信枠という単位が異なり、必ずしも同じ職種・媒体・工程が対象ではありません。bサーチは対象媒体を絞った大量配信型の最低月額、リクルートメントパートナーズは手作業の時間単価またはマイナビ向けのRPA配信月額、VOLLECTは稼働時間を基準とした月額です。「月額最安値ランキング」や「統計的に確立したスカウト代行の平均相場」とは解釈しないでください。未記載の税区分や最低契約月数は見積時に確認します。媒体でRPAや代理送信を使用できるかは各媒体の規約に従います。
料金に差が生じる5つの要因
第一に、求人の職種数や地域、対象条件の厳しさです。複数職種の要件を整理するか、一職種の既存文面を見直すだけかでは工数が変わります。
第二に、利用する媒体と契約枠です。媒体利用料や追加送信枠は代行支援費とは別の可能性があります。
第三に、文面作成やターゲット要件の設計です。共通の文章を整えるのか、業務内容・待遇・求める人材像から作り直すのかを確認します。
第四に、数値報告と改善です。送信実績を記録するだけか、返信から面談まで分析し、次の改善案を提案するかは別です。
第五に、契約期間・追加業務です。初期費用、最低月数、追加通数、面談調整や候補者対応の契約条件を確認します。
媒体費・初期費用を含む総予算の考え方
総支出は「支援料金+初期費用+媒体利用料・ツール費+追加料金」で整理します。月額型なら最低契約月数を掛け、通数型なら計画送信数に応じて計算します。
架空の計算例として、支援費が月8万円、媒体利用料が月4万円、最低3か月で初期費用が0円なら、3か月の支出は(8万円+4万円)×3か月=36万円です。これは計算方法を説明する仮定であり、実在サービスの見積や標準相場ではありません。採用できる人数を保証するものでもありません。
3か月だけ試したいと考えていても、最低契約期間が6か月なら必要予算は変わります。また、外注後も企業には返信・要件承認・採否判断などの工数が残り得ます。見積金額とあわせて、社内担当者が必要とする時間も比較します。複数社へ同じ条件で見積もりを依頼すると比較しやすくなります。
スカウトのどこまで任せられる?判断と作業を分ける
| 工程 | 外部へ相談できる支援の例 | 採用企業に残す判断 |
|---|---|---|
| 採用設計 | 人物像、求人要件、文面案の整理 | 採用人数・給与・必須要件・募集方針 |
| 運用準備 | 企業の指示に基づく資料・定型文の準備、履歴集計 | 媒体契約・対象条件・個人情報の扱い |
| 候補者への接触 | 法令・許可・媒体規約と具体的行為に応じて個別判断 | 誰に何を送るか・誰の裁量で接触するか |
| 返信後と選考 | 進捗管理・企業の決定内容の共有準備等 | 選考評価・採否・雇用条件 |
これは役割分担を検討する例であり、どの外部事業者も無条件に受託可能という意味ではありません。独自の候補者探索・勧奨・あっせんと、企業から具体的に指示された事務を分け、許認可や委託募集等の必要性を確認します。契約書に「事務代行」と書くだけでは結論が出ず、実際の判断・送信・返信の裁量まで確認する必要があります。
送信数だけで判断しない|返信から採用までの数字
| 工程 | 確認する項目 | 停滞したときの確認 |
|---|---|---|
| 送信 | 送信通数・対象求人・媒体 | 求める対象像と送信内容は一致しているか |
| 返信 | 返信数・返信率・前向きな反応 | 募集条件・文章が候補者の希望と合うか |
| 面談・応募 | 面談設定・実施・応募数 | 企業側の返信や日程案内が遅くないか |
| 選考・採用 | 選考移行数・採用数・総費用 | 面接・労働条件・採用要件は適切か |
開封・閲覧などのデータが取れるかは媒体によります。送信数が増えただけで成功と評価せず、少数の返信をもとに短期で失敗とも断定しません。媒体によって「返信」「応募」「面談」の定義が異なる場合があるため、比較時は母数・期間・定義をそろえてください。返信率が良くても求人条件に合わない候補者ばかりなら、採用への貢献は別問題です。
中小企業が自社運用と外部支援を比較する順番
自社の担当者が要件を明確にでき、時間も確保できるなら、まず文面と求人条件を見直す方法があります。媒体選びから迷っている企業は中小企業の採用媒体の選び方を参考にしてください。
候補者に送る文面の準備や数値管理だけが難しい場合は、必要な業務を限定して相談します。事業者による独自の候補者選別・勧奨を安易に「事務作業」として発注せず、判断主体と法令区分を確認してください。
返信が来るのに面談へ進まない場合は、送信量よりも企業側の返答速度や選考運用を点検する方が先かもしれません。応募後の進捗管理については応募者対応代行の費用でも整理しています。
見積もりで確認したい8項目
- 対象職種・拠点・採用人数・媒体は何か。
- 送信通数と追加料金、文面修正の回数はどこまで含まれるか。
- 候補者の対象条件と文面は誰が承認し、誰が判断するか。
- 返信後の案内・面談調整・ATS登録等は料金に含むか。
- 媒体費・初期費用・ツール費・税区分・追加作業費は別か。
- 最低契約期間と中途解約条件はどうなるか。
- 送信・返信・面談・採用のどの数値で改善するか。
- 行為の実態に応じた法令上の確認と媒体規約への対応はどうするか。
見積書に「スカウト運用一式」としか書かれていない場合は、成果物・稼働時間・権限・対応範囲を確認してから比較しましょう。
法令・媒体規約・個人情報の確認
厚生労働省の「募集情報等提供と職業紹介の区分」は、事業の名称ではなく実際の行為に基づき区分するための具体例を示しています。例1-4は、求人企業に紹介するため求職者を探索・勧奨し、応じた人をあっせんする事業上のスカウト行為を職業紹介に該当する例としています。例4-3は、企業が指定した人への共通定型文送信を、事業者独自の意思疎通の加工に当たらない例としています。一方、例4-4では、候補者の職歴に応じて事業者の判断で給与条件の説明を付け加えることを、独自の加工の例としています。これは区分の具体例であり、個別のスカウト代行全体の許認可や適法性を一律に判断できるものではありません。
したがって「スカウト代行という名称なら許可確認は不要」とは言えません。一方、文章案の作成などすべての支援が直ちに職業紹介になると断定するのも不正確です。誰が対象者を選び、誰が接触内容を決め、誰があっせんするかを整理し、管轄の都道府県労働局等へ確認します。
媒体の代理操作・自動送信・アカウント共有は規約に従い、候補者情報は利用目的・閲覧権限・再委託・保管・削除などを定めたうえで扱います。許可・届出や委託募集の手続が必要かどうかは契約・業態・具体的な行為により異なり得るため、実運用前に管轄労働局等へ確認してください。
EnterLinkでは何を相談できる?
EnterLinkは中小企業向けに、採用目的・要件・求人票・媒体運用・数値管理を整理するRPO・採用支援を提供しています。スカウト媒体を使うべきか、求人票や募集条件を見直すべきか、社内と外部の業務をどう切り分けるかといった相談ができます。
公式RPOページにある部分RPO月額5万円〜(税別、1か月〜)は対象業務を限定した支援、採用全体支援月額20万円(税別、3か月〜)は別の支援です。「スカウト代行専門の月5万円プラン」や「候補者の独自探索・勧奨・あっせんをすべて受託できる」という意味ではありません。EnterLinkのRPOは有料職業紹介サービスではなく、求職者紹介の商品でもありません。具体的な支援範囲は法令・媒体規約・提供体制を確認します。
募集職種、採用期限、利用媒体、困っている工程を分かる範囲で整理したうえで、EnterLinkに採用支援の範囲を相談することができます。初回相談に候補者氏名・履歴書などの個人情報は必要ありません。
よくある質問
Q. スカウト代行の費用相場は月額いくらですか?
公開料金には月数万円の限定的な支援から月数十万円の継続支援まで幅がありますが、対象業務や契約期間が異なります。単一の市場平均とはみなさず、媒体費と最低期間を含む総額で比較してください。
Q. スカウト代行に媒体利用料は含まれますか?
含まれないサービスがあります。利用媒体の契約料金と送信枠、初期費用、追加作業費、税区分を別々に確認してください。
Q. 送信数を増やせば採用につながりますか?
必ずしもそうとは限りません。求人条件と候補者の希望、返信の内容、面談・応募への移行、面接・採用まで分けて確認する必要があります。返信率だけの改善が採用成功を保証するわけではありません。
Q. 候補者の選定・送信・返信まで全部を外部に任せられますか?
事業者の許可と実際の行為・契約、媒体規約によって異なります。候補者の独自探索や勧奨・あっせんなどが職業紹介に該当する場合があるため、無条件に可能とは言えません。
まとめ|月額よりも支援範囲と企業に残る仕事を確認する
スカウト代行は月額・通数・時間の課金単位だけでなく、依頼する工程、媒体費、契約期間、誰が候補者への接触を判断するかで総費用と実行体制が変わります。自社で改善できる課題に不要な外注費を使わず、まず採用要件・文面・返信後の工程を分けて確認しましょう。
RPO全体の見積もりは採用代行・RPOの費用ガイド、実務を任せられる範囲はRPOの業務範囲で別途解説しています。採用運用全体の見直しから相談したい企業は、EnterLinkのRPO・採用支援または相談窓口をご覧ください。