人材紹介会社と契約したものの、推薦数が増えない。推薦は来ているのに確認や面接調整が進まず、エージェントから催促が届く。複数社とのやり取りを社長や管理部門の担当者が兼務している企業では、こうした状況が起こることがあります。

その場合に検討できるのが、紹介会社との情報共有、連絡・進捗の記録、定例会の準備などを外部へ任せる「エージェント対応代行(エージェントコントロール)」です。

ただし、人材紹介会社に候補者を紹介してもらうことと、採用企業が紹介会社の管理業務を外注することは別です。人材紹介会社へ払う成功報酬と、エージェント対応代行の業務料金も分けて考える必要があります。代行会社がどんな連絡を行い、どの判断を企業に残すかまで決めなければ、負担が減らないばかりか、法令上の確認も必要になります。

この記事では、代行できる仕事、社内に残す判断、エージェントごとの管理表、公開料金例、外注しない選択肢を整理します。

結論|紹介会社を増やす前に、推薦数と「推薦後の停滞」を分ける

最初に確認したいのは、紹介会社からの候補者の推薦が足りないのか、それとも推薦された後に企業側の選考が止まっているのかです。前者なら求人条件や紹介会社への情報共有、後者なら返信期限・社内承認・面接枠など、改善すべき場所が異なります。

推薦が少ない場合、採用ターゲット・待遇・勤務地・紹介会社が求職者へ説明できる情報などに原因があるかもしれません。一方、推薦後の確認・面接調整・結果連絡が遅れているなら、紹介会社をさらに増やす前に管理体制を見直す余地があります。

求人要件の整理や、推薦・選考状況の記録、決定済み内容の定型共有は、役割・法令区分・個人データの取扱いを確認したうえで外部支援を検討できます。採否判断や労働条件の決定は採用企業に残します。

エージェント対応代行とは?人材紹介そのものとは異なる

エージェント対応代行は、採用する会社の立場で、人材紹介会社との連絡、募集要件の共有、定例会・説明会の準備、推薦状況や対応期限の管理などを支援する業務です。「エージェントコントロール」とも呼ばれます。

人材紹介会社は、職業紹介事業として求人者と求職者の雇用関係成立をあっせんします。一方、採用支援会社が求人企業の事務・管理を支えることは、業務の実態が異なります。RPOという名前が付いていれば何でも許されるわけではありません。

既存の採用代行・RPOと人材紹介の違いでは、どちらを選ぶかを比較しています。本記事は人材紹介会社を使い始めた後の企業側の運用を扱います。

紹介会社を活用できていないときに起こる3つの問題

1. 推薦が少ない|求人要件や魅力が伝わっていない

募集職種名しか共有しておらず、実際の仕事、必須要件と歓迎要件の線引き、年収の決まり方、活躍しやすい人の特徴が曖昧なケースです。紹介会社に単に「推薦を増やしてください」と依頼するのではなく、何を伝えれば紹介会社が候補者へ説明しやすいかを整理します。

推薦が少ないからといって、必ず紹介会社側の活動不足だとは限りません。求人条件そのものの見直しを企業側で判断する必要もあります。

2. 推薦内容が合わない|評価基準とフィードバックが共有されていない

推薦された候補者について、企業側が何を評価したのかが共有されず、次の推薦でも同じすれ違いが起きる状態です。「経験が合わない」とだけ返すのではなく、職務要件と実際の評価基準に沿って企業が判断した事実を整理し、必要な範囲でフィードバックします。

候補者の選別や合否を、代行会社が独自に行う前提にはしません。

3. 推薦後に進まない|社内の確認・日程調整が止まっている

推薦が届いても社内の書類確認担当が決まっておらず、面接官の日程も確保されないと、紹介会社からの確認が増えていきます。メール対応だけ外部へ任せても、企業の承認や面接枠が止まったままでは解決しません。

エージェント管理代行に任せる業務と企業に残す判断

外注の見積もり前に、作業と判断を分けて整理します。

エージェント対応代行に任せる業務と企業に残す判断
業務外注を検討する範囲企業に残す決定・確認
採用要件の共有職務・募集条件の資料整理、決定済み情報の連絡補助必須条件・給与・就業条件の決定
紹介会社への連絡定型連絡、回答期限の確認、定例日程の調整取引先選定・契約条件の承認
推薦の進捗管理到着日・担当者・ステータス・未回答の記録候補者の選考評価・採否判断
フィードバック企業が決定した内容の共有準備、送信履歴の管理合否理由・評価内容の決定
数値集計・改善会社別の推薦・面接・採用数、停滞工程の可視化求人要件・運用方針の変更判断
面接日程企業承認済みの面接枠に基づく事務的な日程連絡面接官・面接内容・実施可否

これは委託可能性を検討するための一般的な整理であり、各行のあらゆる行為が無条件に受託可能という意味ではありません。候補者情報を扱う場面や、独自の候補者選別・情報加工・雇用成立のあっせんに踏み込む行為は、契約・実態に応じて法令区分を確認します。

管理表は6つの項目と「誰の返事待ちか」をそろえる

紹介会社別に推薦数だけを並べても、何を改善すべきかは分かりません。まず紹介会社×募集職種を基本単位にして、次の項目を記録します。候補者単位の情報は必要最小限にし、共有先の権限を分けます。

紹介会社・職種別の推薦・選考管理6項目
管理項目記録する内容見えてくる問題
紹介会社・募集職種社名、求人、担当、要件更新日古い求人情報で推薦されていないか
推薦数期間中に受領した件数推薦そのものが不足しているか
書類確認・面接数企業の確認数、面接設定/実施数次の選考工程へ進んでいるか
辞退・見送り理由確認できた理由を分類して記録要件や選考体制のどこが問題か
対応日・滞留日数推薦日、回答日、現在の待機日数返信・承認が遅い工程
次の担当者・期限企業/紹介会社のどちらが、いつ動くか対応漏れや責任の曖昧さ

例えば架空の管理例として、A社からは推薦が届いているのに企業側の書類確認待ちが複数件あり、B社はそもそも推薦が来ていない場合を考えます。A社への打ち手は社内の確認期限・担当者の明確化で、B社には求人内容と紹介可能性の再確認が先になります。異なる問題を「エージェントの動きが悪い」で一括りにしないことが重要です。

上表はEnterLink顧客の実績データではなく、管理項目の提案です。推薦数が少ない期間には率だけで紹介会社の優劣を決めないようにします。

最初の1週間の進め方としては、①紹介会社・求人ごとの担当と連絡先をそろえる、②直近の推薦を一覧にして企業側・紹介会社側それぞれの未対応を区別する、③返答期限と次の担当者を決め、週次で滞留を確認する、という順番が考えられます。メールだけで十分なら新しいツールを導入する必要はありません。管理項目の一般的な考え方は、採用管理システムRPMのエージェント管理機能でも紹介されています。

紹介会社からの推薦を増やすために、何を共有する?

連絡回数を増やすことより、紹介会社が候補者へ伝えられる情報を整えることが優先になる場合があります。

採用する目的、担当業務と期待成果、必須・歓迎要件、給与の算定条件、勤務場所と働き方、面接工程、候補者に説明できる会社の魅力を整理しましょう。募集内容を変更した際は、複数社の担当者へ同じ更新情報が届いているかも確認します。

選考で見送りとなった場合は、採用企業が評価した職務上の要件や選考段階を踏まえた情報を共有します。本人の適性・能力と無関係な情報を選考基準に用いず、必要以上の個人データを外部へ共有しないことも大切です。

エージェント対応代行の費用は?料金例と比較条件

「エージェント対応代行」の料金は、対象職種数、紹介会社数、定例会、連絡件数、求人票の修正、候補者の進捗管理といった範囲で変わります。実際の公開料金を、条件が異なる事例として比較します。

エージェント対応代行の公式公開料金例(2026年10月26日時点)
サービス・提供元公式に掲載された価格比較時の注意点
ネオキャリア「エージェントコントロール」月額10万円〜のトライアル職種数・紹介会社数に応じた個別提案。税区分、トライアルの対象業務・期間、継続時の条件は見積確認
INDUSTRIAL-X(Resource Cloud掲載)「エージェントコントロールプラン」月額30万円〜(税別)/別途初期費用の案内あり紹介会社選定・求人票作成・採用要件共有・選考フィードバック・初期スクリーニング等の掲載。事前準備・採用戦略設計は10万円(税別)と記載。契約範囲と必要な許認可は個別確認
EnterLinkの部分RPO支援月額5万円〜(税別)、1か月〜エージェント管理を含む対象業務限定の部分支援。すべてのエージェント対応業務を一律に月5万円で請け負う保証ではない

出典:ネオキャリア「エージェントコントロール」、Resource Cloud「RPO採用支援」、EnterLink「RPO・採用支援」(2026年10月26日確認)。Resource Cloudのページ冒頭の「月額22万円〜(税込)」はRPO全般の表示であり、同ページ内のエージェントコントロール専用プランは月額30万円〜(税別)です。両者を同じプランの価格として読み替えないでください。掲載条件は変更され得るため、依頼時には最新の公式案内と正式見積書をご確認ください。

この3つの金額を平均して「エージェント管理代行の相場」とは扱えません。 トライアルと複数業務を含むプラン、業務を限定する部分支援は別商品です。金額を比べるときは、対象となる職種数・紹介会社数・定例頻度・対応時間・初期設定費・最低契約期間を揃えます。

また、採用代行会社に支払う料金と、紹介会社経由で採用が決まった際に発生する紹介手数料は別です。ネオキャリアの掲載サービスは自社の代行料金について「成功報酬不要」と案内していますが、それをもって別契約の人材紹介会社への紹介料が無料になるわけではありません。 人材紹介会社との紹介料発生条件は契約書で確認してください。

自社運用・採用管理ツール・部分外注のどれを選ぶ?

人材紹介会社が1社だけで、推薦も少なく、社内の担当者が速やかに対応できるなら、最初から外注する必要はありません。求人ごとの対応責任者と返信期限を明確にし、簡単な管理表から始めてもよいでしょう。

紹介会社や求人が増え、メール・候補者情報の履歴が分散している場合は、採用管理システム(ATS)が役立つ可能性があります。例えばRPMのエージェント管理機能では、紹介会社との求人共有や進捗把握などをシステムで支援します。ただし、ツールを入れても、企業側で誰が求人要件を決め、紹介会社へ返信するかが決まっていなければ運用は止まります。

紹介会社への説明、求人要件の更新共有、進捗確認、定例運用、数値報告を行う人手やノウハウが不足している場合は、対象業務を限定した部分RPOを検討します。必要な範囲が広がった場合のみ、採用全体の支援との比較を行います。

外注する前に確認したい法令と個人情報

厚生労働省は、求人・求職の申込みを受け、雇用関係の成立をあっせんする行為を「職業紹介」と説明しています。委託先が候補者を独自の判断で選別したり、求人者・求職者間の意思疎通を実質的に取り持ったりする場合など、業務の実態によって職業紹介に該当する可能性があります。単なる進捗記録と、独自の選別・あっせんは同じではありません。

したがって「人材紹介会社への返信だけだから、どのような内容でも代行してよい」とは判断できません。契約する紹介会社自身が職業紹介を行うことと、RPO会社が企業の管理事務を支援することは区別し、委託する具体的な行為に応じて、職業紹介・委託募集などの該当性を都道府県労働局等へ確認してください。

参考:厚生労働省「募集情報等提供と職業紹介の区分」、厚生労働省の募集・求人業務関係資料。

候補者の履歴書や連絡履歴などを外部へ取り扱わせる場合は、委託する業務の範囲、個人情報の利用目的、アクセス権限、再委託、保管・削除、事故対応を事前に決めます。委託元には委託先の選定、必要な契約、取扱状況の把握など必要かつ適切な監督も求められます。個人データは委託業務に不要な範囲まで共有しないようにします。個人情報保護委員会のガイドラインを参照してください。

EnterLinkではどのような相談ができる?

EnterLinkでは、中小企業の採用課題を確認し、求人要件の整理やエージェント管理、日程調整、数値管理など、必要な業務を限定したRPO支援を提供しています。候補者を紹介する有料職業紹介サービスではありません。

「紹介会社は複数あるが、担当者が日々の対応に追われている」「推薦が減っており、どこから見直すべきか分からない」といった段階から、対象職種、契約先の紹介会社数、直近の推薦状況、社内の対応体制を整理できます。相談時は、紹介会社の社数・募集職種・推薦後に止まっている工程・月間対応件数が分かる範囲であれば十分です。候補者の氏名・履歴書など個人データを初回相談フォームに添付する必要はありません。

EnterLinkへエージェント管理・採用業務を相談するから、現状の困りごとをお知らせください。すべて外部委託する前提ではなく、自社で対応できる場合や管理ツールで十分な場合も含めて、支援範囲を検討します。サービス内容・料金の概要は採用代行・RPOのページでもご覧いただけます。

よくある質問

Q. 人材紹介会社を増やせば推薦が増えますか?

必ずしもそうとは限りません。既存紹介会社に求人要件が正しく届いているか、候補者へ説明できる情報があるか、推薦後の返答が止まっていないかを先に確認します。

Q. エージェント対応だけを部分的に外注できますか?

対象業務・紹介会社数・職種数を限定して依頼できるサービスがあります。料金に含まれる定例・連絡・要件整理・進捗管理の範囲、初期費用、対応時間と最低契約期間を見積もりで確認してください。実施できる業務は法令区分などの確認が前提です。

Q. RPOへ依頼すると人材紹介手数料は不要ですか?

いいえ。RPOの業務支援料金と、別契約の人材紹介会社に支払う紹介手数料は別です。採用が決まった際の紹介料は紹介会社との契約条件によります。

Q. 何社くらいから外注を考えるべきですか?

一律の社数基準はありません。紹介会社数が少なくても社内の対応が滞れば課題になりますし、複数社でも担当・情報・期限が整理されていれば自社管理で十分な場合があります。

まとめ|紹介会社を増やす前に、企業側の対応を整える

エージェント対応代行を検討する前に、推薦数不足と推薦後の停滞を分けてください。そのうえで、求人要件・紹介会社別の進捗・返信期限・次の担当者・評価フィードバックをそろえると、改善すべき業務が見えやすくなります。

外注する場合も、企業が担う採否・募集条件の判断、委託先が行う事務・管理、紹介会社が行う職業紹介を混同しないことが大切です。現状の管理体制から整理したい場合は、EnterLinkの採用支援へ相談することもできます。